LIFE CICLA "Jejak Pesinggah"

一生すれ違うこともない君　
と　僕
道端の名も知らない草木　
と　僕
誰の目にも留まらない石ころ　
と　僕
は　異種　別世界　無関係
肉眼を閉じて心眼を開けよ
どこか遠くの存在を介しながら
巡りめぐって繋がる
僕　以外は　僕　とは異なり　無縁のようでも
世界のあますところなく僕　そのものであり　
僕は　僕以外のすべてなんだ
それらが呼び掛け　木霊し　補い合い続ける
森羅万象を讃える歌を口ずさみ
慈しみの眼差しを向け
情け深き手を広げよう
伝播して循環する　円満のサイクル

ジャカルタの南、ボゴールの北端に位置するチビノンから出現したLIFE CICLAは、Yos Bonar (ボーカル&ギター)を中心とした8人編成のフォーク・ロック・グループ。
通常のギター、ベース、ドラムに加えて女性ヴォーカリストの存在が彩を豊かにし、ヴァイオリン奏者はアコースティックな響きを増幅させ、キーボーディストはガムランの音色を再現。その民族性を打ち出したサウンドは、インドネシアの多様性と独自性に気づいた彼らがこだわる部分だ。

また、バンド名はLife Cycleを意味しており、人生なるものをいかに認識し豊かな生き方をしていくのかという理念に基づいて名付けられている。

少しだけ彼らのメッセージに触れてみよう。
完璧な者は存在しない。欠点は欠点ではなく贈り物。違いと優劣に優越感を覚えるのではなく、それぞれの長所で相手の短所を補ってお互いに愛し合おうと呼びかける「Astam Eva」。迷い疲れて立ち止まった者たちへ、ずっと友達だからとそばに寄り添い肩を貸しながら応援してくれる　「Sahabatku」。人生の夢や希望への気力を奮い起こすように誕生日という大切な1日を気持ち新たに過ごせるよう祝福してくれる「Seluta」。心の目を開いて互いに与えて補い合いましょう。と、誰も一人では生きてはいけないことを気づかせてくれる「Mata Hati」。独立のために命を賭けて戦ったのにもかかわらず、退役後は貧困に喘ぐ祖国の英雄たちに捧げられた「Alunam Auman」。迷い立ち止まり希望は失われていく。しかし、時は決して戻らない。失敗を教訓にして何度でも立ち上がり越えていこう。と背中を押してくれる「Waktu」……。

このように社会問題や人道活動に関心を寄せる彼らの歌詞は、リスナーそれぞれの生活態度を今一度考え直させるように深く切り込んでくることは確かだ。とはいえ、重苦しくのしかかってくるようなものではなく、前向きな思考で人々の暮らしにまつわる循環構造を意識させるように促すような姿勢。そしてそれを証明するかのように鼓舞するコーラス、伸びやかなヴァイオリンの旋律、輝くようなガムランの音色がたおやかに鳴り響く。

あなたが心の目を開けるなら、LIFE CICLAの音楽は明るい未来への扉を開いてくれるはずだ。

2015年発表
20cm×20cmの封筒型紙パッケージに、CDを収納できるブックレットとしおりを封入。

収録曲
01.Singgah 3:03
02.Astam Eva 4:51
03.Sahabatku 5:06
04.Seluta 4:20
05.Ceritera 5:25
06.Semesta 4:36
07.Interlude 1:42
08.Waktu 3:37
09.Alunan Auman 5:13
10.Mata Hati 4:44
11.Derau 3:35