LUNARIN "Duae"

LUNARIN "Duae"

販売価格: 1,700(税込)

商品詳細

Tori Amos、COCTEAU TWINSのElizabeth Fraser、THE SUNDAYSのHarriet Wheelerから影響を受けたLinda Ongのヴォーカルが印象的なオルタナティヴ・ゴシック・ロック・トリオ。

2010年リリースの2nd。
スーパー・ジュエル・ボックス仕様。

収録曲
01.For Apollo
02.Midas
03.Zero Point Red
04.Saturn
05.Red
06.Coralline
07.Icarus rising
08.Serpentine
09.To Forget
10.The Sky (Algiers)
11.Solus Nebula
12.The Inquisition

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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それぞれの置かれた環境で、人は多かれ少なかれ問題を抱えている。それが個人的なことであれ、社会的なことであれ、田舎に住んでいようとも、都会に住んでいようとも、そしてどんな国であろうとも。

シンガポールのLUNARINはLinda Ong(Vocal/Bass)、Ho Kah Wye(Guitar)、Loo Eng Teck(Drums/Piano)という3人組。2006年にデビュー・アルバム『The Chrysalis』を、2010年8月には、約4年ぶりとなるセカンド・アルバム『Duae』をリリースしている。

彼らの音楽はとても都会的であり、影響を受けたというTOOLやA PERFECT CIRCLEをはじめ、オルタナティブ・ロックやゴスの要素を踏まえて、叙情的かつ退廃的な10分近くもある曲に 、TORI AMOS、COCTEAU TWINSのElizabeth Fraser、そしてTHE SUNDAYSのHarriet WheelerのファンだというLindaの諦観や憂いに満ちた儚く美しい声が浮遊する。

Lindaによれば、『The Chrysalis』は自分自身を探し出すアルバム。『Duae』は、その前作を論理的に推し進めて、都会のコンクリート・ジャングルで失われていくモノ、そしてその社会の中で自分自身の居場所を探す事をコンセプトとしたアルバムになっており、前作にはなかった社会的で政治的な傾向が含まれているという。また、アルバムのアートワークもそれを象徴するように、廃墟となった倉庫の写真が使用されている。

彼らの音楽性はもとより、自身のホーム・スタジオで録音したということで、さらっと聴いてしまうと、コンクリート的などこか無機質で冷めた感覚の方が目立ってしまうかもしれないが、きちんと向き合えば、より深く成熟した楽曲に、悲壮感、危機感、憤りといった情感が注入されて、想像以上にヘヴィでエモーショナルな音楽となっていることに気付くはずだ。

LUNARINというバンドはインディであり、基本的にはアートワークやレコーディングはもちろん、プロデュースも自分たちだけで行っているのだが、マスタリングに関しては専門的な知識や機材の問題からその道のプロフェッショナルに依頼した。クレジットを見てみると、驚くことにAdam Ayanとある。彼は幅広いジャンルで活躍する著名なエンジニアだが、メタルを聴く者にとってはDREAM THEATER、MEGADETH、ANNHILATOR、等の作品を手掛けた人物といった方がインパクトがあるかもしれない。LUNARINがそんな彼を選んだ理由はとてもシンプルで、彼らが好きなNINE INCH NAILS、NIRVANA、A PERFECT CIRCLEの作品にAdam Ayanが携わっていたからだと教えてくれた。

ここ数年、集中的にシンガポールを見てきて気付かされたが、以前紹介したTHE OBSERVATORYも、やはりこのLUNARINというバンドも、サウンドの雰囲気や歌詞のテーマ、バンドの運営方法、どれを取ってもシンガポールらしい、この国のこの世代だからこそ生まれたバンドだと思う。

しかし彼らの扱うテーマが、シンガポール国内だけに機能するとは思わない。日々刻々と変化する社会、都会の喧噪の中で流されていく自分という存在を今一度見つめ直すきっかけを与えてくれるのがLUNARINの『Duae』である。
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