PSYCHO "Pain Addict Pigs"

PSYCHO "Pain Addict Pigs"

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商品詳細

シンガポールのホラー・メタル。スラッシュ、デス、ブラック・メタルといったジャンルの音楽をミックスした音楽性に変化したことで、PSYCHOTHERAPYからPSYCHOと名前を変えてリリースしたファースト・アルバム。
完璧主義者でホラー映画マニアのメンバー達が狂気をテーマに、生活に基づいたHorror、Blood、Sex、Violenceを取り上げていくアルバム。アジアン・ホラー映画のような捻りの利いた、そして魔物に取り憑かれた恐怖を注入して緻密に練りあげた楽曲。アブナイ物語の登場人物に成り切って綴ったリアリティのある病的な歌詞に背筋が凍る。

芸術性を帯びた超現実的で完璧なる狂気の饗宴。

2011年リリース。

収録曲
01.Intro (The First Incantation) 1:36
02.Pain Addict Pigs 5:10
03.All Are Dead 3:40
04.Meat Slit Grinder 4:14
05.Dr. Satan 3:38
06.Revenge Of The Raging Whore 3:54
07.Lords Of Slaughter 3:25
08.Mater Lachrymarum… Mother Of Tears 4:48
09.Demon Deathtrance 3:29

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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恐ろしいものや怖いものは、通常なら、なるべくなら避けて通りたい類のものであるけれども、時として恐怖は人を魅了してやまない一面を持っている。ホラー映画などはその最たるものだろう。最近では、ごく一部で『ムカデ人間』なるカルトなホラー映画の日本上陸に沸き立つ人々もいるようだ。さすがにカルトと言われるだけあって、頭がクラクラしてくるような内容だが、そこでなんとなく思い出したのが、PSYCHOというバンド。

PSYCHOはシンガポールで唯一と言っていいホラー・コンセプトのメタル・バンドだ。結成は2005年。ヴォーカルのPenny TortureとギターのBryanが中心となって、ベースにJY、ドラムにByronというメンバーを集めてPSYCHOTHERAPYというバンド名で活動を開始。バンドは2008年にデモをリリースしているが、こちらは実験的な要素が強く、デス・メタル調の楽曲からハード・ロックまで多岐にわたり、歌い方も曲ごとに異なっていた。その試行錯誤の中で彼らは、スラッシュ、デス、ブラック・メタルといったジャンルの音楽をミックスしたエクストリームな方法を選択し、自己の音楽スタイルを固めていった。バンドは、この音楽性の変化にともなって、以前のPSYCHOTHERAPYからそのイメージに合わせたPSYCHOへと名前を改める。なんとも見事な改名だと思う。

そしてバンドは今年、デビュー・アルバム『Pain Addict Pigs』をリリース。彼らの言うように、スラッシュ、デス、ブラック・メタルの要素をうまく融合させており、またそれは完全にオールド・スクール・メタル寄りの音で演出されているので、そうしたことがより一層、彼らの演出するホラー・イメージに説得力を加えているように思える。

彼らがこのアルバムで描き出すイメージは”狂気”であり、暴力、恐怖、血、性的な事柄をもってそれを表現しているという。実はメンバー全員が、ホラー映画マニアということで、イタリアの有名所のホラーやアメリカのB級ホラーはもちろん、タイや日本といったアジアのホラー映画には相当入れ込んでいる。その中から、特にアジア独特の捻りの利いた、そして魔物に取り憑かれたような恐怖を音楽に封じ込めるように努力していると語っていたが、それはこのデビューアルバムにして、見事に表現されていると言って良い。

また、メンバー全員が凝り性で完璧主義者だという。確かに、楽曲も細部にわたって緻密に計算され、演奏能力も十分である。けれども私が一番感心したのは、歌詞についての取り組みだ。作詞を行うのはヴォーカリストであるPenny Tortureだが、彼は自己の経験、悪夢や想像、フェティッシュ、ヒネクレた発想から歌詞を綴っていく。しかも、自分自身をその詞の登場人物に成り切らせて。つまり、どういう事かというと、「例えば、猟奇殺人がテーマなら、殺人者そのものに気持ちになって、猟奇殺人に至る思考を理解することから始める。だからそこから生まれた言葉によって綴られた歌詞はすべてが現実、本物なんだ」と彼は説明してくれた。この言葉を聞いてから歌詞を読み返すと、とんでもなく恐ろしいアルバム、そしてバンドだと改めて思い知らされる。

ちなみに、ステージ上でも彼らは妥協無く自らのイメージをシアトリカルに表現しているようで、「ライブ後のステージはめちゃくちゃの血みどろになっているぜ!」と言って笑っていた。

生真面目な彼らの構築する超現実的で完璧なる狂気は芸術性を帯びている。
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