SIU2 "Open Door"
SIU2 "Open Door"
販売価格: 1,700円(税込)
商品詳細
若き天才作曲家Ng Cheuk Yin(笙/Organ/E.Piano/Chinese Percussion)が率いる中華音楽と西洋の音楽を融合させた6人組(三絃奏者、琴奏者含む)楽団、SIU2。
伝統中華旋律をジャジーにスウィング、プログレッシヴに変化、ロックに爆発!まるでハーモニカやサックスのようにブロウする笙! まさに中華的プログレッシヴ・フュージョン!
香港の未来は明るいね。
2008年リリースのデビュー・アルバム。
収録曲
01.Slow Motion 4:19
02.Open Door 7:08
03.Full Moon 6:00
04.Flower Party 5:17
05.Lazy Days 4:45
06.Old Restaurant 4:00
07.Old Drama 5:26
08.Grand Grand Victory 5:24
09.Double 6:13
10.Window 10:00
以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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夏季はフェスティヴァルのシーズンということで、今年も全国各地で興味深い音楽フェスが開催されるようだ。中でも個人的に目を惹くのが『PROGRESSIVE ROCK FES 2011』で、KANSAS、WISHBONE ASH、PFMといった大御所が一緒に観られるとは、なんとも贅沢かつ、お得感のある企画。おそらく、単独公演もこのフェスも両方観に行くファンも少なからずおられるだろう。
さて、そんなわけで今回は少しプログレッシヴな感性を持ったバンドを紹介したい。とは言っても、先に挙げたように30年も40年も活動を続けているアジア圏のプログレは数少ないので、今回は比較的新しめのグループを選出してみよう。
多少の語弊は承知のうえだが、かつて女子十二楽坊が東アジア、そして米国の音楽市場を席巻したときに、ロック・ファンや、プログレ・ファンは「もっとロックしてくれたら…」と思ったに違いない。そんな期待に答えるかのようなグループが香港に存在している。
その名はSIU2。笙と鍵盤を操る若手作曲家のNg Cheuk Yinを中心に琴奏者、三絃奏者、そしてピアノ、ベース、ドラムを加えた6人組が紡ぎ出すのはインストの中華的プログレッシヴ・フュージョンだ。
今から約10年前にNg Cheuk Yinが在籍していたフュージョン・バンドで、中華音楽の楽器を使用してみようというアイデアが持ち上がったのが事の始まりだ。彼らは、琵琶奏者を加入させ、それまでキーボードをメインとして演奏しいていたNg Cheuk Yinは、笙をメイン楽器として演奏するSIUというバンドを2003年に結成する。このSIUというバンド名、 “Sheng It Up”の略で、笙(Sheng)を使ってなにかユニークなことをやってみようという意味が込められているようだ。 この時、SIUは1枚のEPをリリースし、東京にて演奏する機会を得るも、2005年には解散してしまう。しかしながら、2007年にHK Arts Festivalに招待されることになり、Ng Cheuk Yinは、新たなメンバーを募り、SIU2としてグループを再建。
これまで、このグループはカヴァー曲なども多くプレイしてきたようだが、オリジナル曲のみで構成された『Open Door』を2008年に発表。 中華音楽と西洋のポップ、ロック、ジャズなど、あらゆるジャンルの音楽をミックスしたフュージョンを用いて、香港の街や人々の生活からインスピレーションを得て生まれたという楽曲は、歌詞のないインストながらも聴き手の想像力を刺激し、個々の心の中に香港という街の情景を描かせる素晴らし表現力を持っている。
フュージョンと一口に言っても、中華楽器が雅に舞い、スウィング。さらには笙がサックスやハーモニカさながらに激しくブロウして、爆発的なパッションを撒き散らすという、とても一筋縄ではいかないスタイルだ。そんな彼らの音楽を聴いた人々からは、”チャイニーズ・プログレッシヴ・ロック”などと呼ばれることもあるという。しかし、Ng Cheuk Yinにとっては、そんなカテゴライズは重要ではなく、聴き手が自由に感じるままに受け取ってくれれば良いという。彼曰く、「このデビュー・アルバムにはスタイルの異なる楽曲を収録して、バンドの姿をさらけ出しているので、心を開いて受け取ってもらえたら嬉しい。そんな気持ちを込めてアルバムのタイトルを『Open Door』とした」ということだ。
この衝撃的なデビュー・アルバムから約2年後の2010年、バンドは『Kon.Fusion』というEPを発表。Hong Kong’s Fusionという意味合いを含んだこの作品では、前作とは多少趣を異にしており、バレーやワルツといったクラシックなジャンルとのフュージョンを試みている。ただでさえ、きちんとした音楽教育を受けてきたメンバーがさらにこのような音楽を演奏すると、より一層、音楽エリート楽団ならでは気品を漂わせ、こちらも正装をして聴かなくてはいけないような気持ちになってくるほどだ。
SIU2の音楽は、本当に信じられないほどのレベルの高い作品で、私はここ数年の東アジアの作品の中でも群を抜いていると思うのだが、Ng Cheuk Yinに言わせれば「ちょっとしたテスト」、「さらに上を目指さないといけない」と言う。実のところ、彼は子供の頃からピアノや中華音楽を演奏したり、ロックやポップスも演奏してきており、大学では作曲について学んでいる。そして、今ではSIU2での活動はもとより、ポップス歌手への楽曲提供を始め、コーラスやシンフォニーの作曲をいくつも手掛ける香港の若き天才作曲家として知られているのだ。
今後、SIU2がどの様な方向へ行くのかはまったく見当もつかないが、スリリングな作品を作り続けてくれることだけは確信が持てる。これからの香港の音楽界を担う天才、Ng Cheuk Yinと同時代に生き、その作品を楽しめることに感謝したい。
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伝統中華旋律をジャジーにスウィング、プログレッシヴに変化、ロックに爆発!まるでハーモニカやサックスのようにブロウする笙! まさに中華的プログレッシヴ・フュージョン!
香港の未来は明るいね。
2008年リリースのデビュー・アルバム。
収録曲
01.Slow Motion 4:19
02.Open Door 7:08
03.Full Moon 6:00
04.Flower Party 5:17
05.Lazy Days 4:45
06.Old Restaurant 4:00
07.Old Drama 5:26
08.Grand Grand Victory 5:24
09.Double 6:13
10.Window 10:00
以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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夏季はフェスティヴァルのシーズンということで、今年も全国各地で興味深い音楽フェスが開催されるようだ。中でも個人的に目を惹くのが『PROGRESSIVE ROCK FES 2011』で、KANSAS、WISHBONE ASH、PFMといった大御所が一緒に観られるとは、なんとも贅沢かつ、お得感のある企画。おそらく、単独公演もこのフェスも両方観に行くファンも少なからずおられるだろう。
さて、そんなわけで今回は少しプログレッシヴな感性を持ったバンドを紹介したい。とは言っても、先に挙げたように30年も40年も活動を続けているアジア圏のプログレは数少ないので、今回は比較的新しめのグループを選出してみよう。
多少の語弊は承知のうえだが、かつて女子十二楽坊が東アジア、そして米国の音楽市場を席巻したときに、ロック・ファンや、プログレ・ファンは「もっとロックしてくれたら…」と思ったに違いない。そんな期待に答えるかのようなグループが香港に存在している。
その名はSIU2。笙と鍵盤を操る若手作曲家のNg Cheuk Yinを中心に琴奏者、三絃奏者、そしてピアノ、ベース、ドラムを加えた6人組が紡ぎ出すのはインストの中華的プログレッシヴ・フュージョンだ。
今から約10年前にNg Cheuk Yinが在籍していたフュージョン・バンドで、中華音楽の楽器を使用してみようというアイデアが持ち上がったのが事の始まりだ。彼らは、琵琶奏者を加入させ、それまでキーボードをメインとして演奏しいていたNg Cheuk Yinは、笙をメイン楽器として演奏するSIUというバンドを2003年に結成する。このSIUというバンド名、 “Sheng It Up”の略で、笙(Sheng)を使ってなにかユニークなことをやってみようという意味が込められているようだ。 この時、SIUは1枚のEPをリリースし、東京にて演奏する機会を得るも、2005年には解散してしまう。しかしながら、2007年にHK Arts Festivalに招待されることになり、Ng Cheuk Yinは、新たなメンバーを募り、SIU2としてグループを再建。
これまで、このグループはカヴァー曲なども多くプレイしてきたようだが、オリジナル曲のみで構成された『Open Door』を2008年に発表。 中華音楽と西洋のポップ、ロック、ジャズなど、あらゆるジャンルの音楽をミックスしたフュージョンを用いて、香港の街や人々の生活からインスピレーションを得て生まれたという楽曲は、歌詞のないインストながらも聴き手の想像力を刺激し、個々の心の中に香港という街の情景を描かせる素晴らし表現力を持っている。
フュージョンと一口に言っても、中華楽器が雅に舞い、スウィング。さらには笙がサックスやハーモニカさながらに激しくブロウして、爆発的なパッションを撒き散らすという、とても一筋縄ではいかないスタイルだ。そんな彼らの音楽を聴いた人々からは、”チャイニーズ・プログレッシヴ・ロック”などと呼ばれることもあるという。しかし、Ng Cheuk Yinにとっては、そんなカテゴライズは重要ではなく、聴き手が自由に感じるままに受け取ってくれれば良いという。彼曰く、「このデビュー・アルバムにはスタイルの異なる楽曲を収録して、バンドの姿をさらけ出しているので、心を開いて受け取ってもらえたら嬉しい。そんな気持ちを込めてアルバムのタイトルを『Open Door』とした」ということだ。
この衝撃的なデビュー・アルバムから約2年後の2010年、バンドは『Kon.Fusion』というEPを発表。Hong Kong’s Fusionという意味合いを含んだこの作品では、前作とは多少趣を異にしており、バレーやワルツといったクラシックなジャンルとのフュージョンを試みている。ただでさえ、きちんとした音楽教育を受けてきたメンバーがさらにこのような音楽を演奏すると、より一層、音楽エリート楽団ならでは気品を漂わせ、こちらも正装をして聴かなくてはいけないような気持ちになってくるほどだ。
SIU2の音楽は、本当に信じられないほどのレベルの高い作品で、私はここ数年の東アジアの作品の中でも群を抜いていると思うのだが、Ng Cheuk Yinに言わせれば「ちょっとしたテスト」、「さらに上を目指さないといけない」と言う。実のところ、彼は子供の頃からピアノや中華音楽を演奏したり、ロックやポップスも演奏してきており、大学では作曲について学んでいる。そして、今ではSIU2での活動はもとより、ポップス歌手への楽曲提供を始め、コーラスやシンフォニーの作曲をいくつも手掛ける香港の若き天才作曲家として知られているのだ。
今後、SIU2がどの様な方向へ行くのかはまったく見当もつかないが、スリリングな作品を作り続けてくれることだけは確信が持てる。これからの香港の音楽界を担う天才、Ng Cheuk Yinと同時代に生き、その作品を楽しめることに感謝したい。
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