MEEN "3arousit Bkeseen"

MEEN "3arousit Bkeseen"

販売価格: 1,800(税込)

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商品詳細

レバノンを代表するユニークなロック・バンド。叙情的なバラードから人を喰ったようなものまで、ほんのりブルーズ・ベースのカラフルでキャッチーな楽曲が魅力。

2011年リリース。
エンハンスド仕様(MP3、映像収録)。

インターネットラジオ「Cinta KecilのASIAN ROCK RISING」
vol.76の1曲目でKassir l 2zezを紹介しております。
最新の放送以外はスティッカム・プレイヤーのMenuからミュージックへ進み、お聴きになりたい過去の放送をクリックしてください。

収録曲
01.Cliché 3:02
02.Bi3ti2id 2:46
03.Ya jagal ma yhizzak ri7 3:02
04.Bkeseen 2:27
05.3am ba3mil jihde 2:55
06.Walid 3:04
07.Wa2fe ma3 l i3len 4:38
08.Ma2birt l a7lem 2:42
09.Mr. Akhdar 2:35
10.Kassir l 2zez 3:42
11.Ntibih ya batinjein, l ghaseel 3a lawno bi boukh 2:06

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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これまで、その存在意義や重要性を考慮しながらアジア圏のバンドを紹介してきたけれども、少しばかりマニアックなバンドが多かったかもしれない。バレンタイン・デーに自ら購入したどこぞのハンサム・シェフが考案したという高級チョコレートをかじり、その低所得者を突き放したようなビターな刺激に、やはり「私には甘ったるい大衆チョコレートで十分」などと思いながらそんな反省をしました。

そうだ、2月はHAN HALENやUFOと言った誰でも知る大物が新作を発表するのだから、このちょっとマニアックだと思われていそうな“アジアン・ロック通信”でも有名なバンドを扱ってみようじゃないか。

そんなわけだからして、今回はMEEN。 ご存知でしょう? おや、ご存じない。おかしいですね。昨年発売された彼らのアルバム『3arouset Bkeseen』は、5週連続でベストセラー・アルバムだったんですよ。……レバノンのヴァージン・メガストアで。 そう、レバノンのロック・バンドです。

やはりアラブ圏でありますから、ロックがメインになるような国ではありません。MEENのメンバーが言うにはレバノンの音楽の80%がアラビック、エジプシャン、そしてハリージといったもので占められているとのことなので、ロック・バンドがベストセラーを5週に渡って叩き出すというのはなかなかの記録なのではないでしょうか。まず、日本で紹介されることはないと思うので、日本のロック・ファンが知らないのは当然ですが、かなり地方に住んでいない限り、ある程度のレバノン人には認知されているのがMEENというロック・バンドです。

MEENは、Toni Yammine(A.Guitar)、Fouad Yammine(Vocal)、Ralf Choueiri(Drums)、Makram Aboul Husn(Bass)、Bernard Najm(Keyboards)、Joe Hammam(E Guitar)という編成でバンド活動を行なっておりますが、実際、中心となるのはToniとFouadのYammine兄弟であり、彼らこそがMEENなのです。
2006年にYammine兄弟によって結成されたMEENは’Qamlo L 7arb‘という曲を発表しますが、これは当時、ヒズボラとイスラエル間で行われていてた戦争に触発されて作られたもので、「戦争を続けて子供たちも死なせてしまえ。世界は間違っている。生命の存在すら間違っている。だからどうぞ戦争を続けてくれ」という皮肉たっぷりの内容。続く‘Banadoura‘という曲では「腐ったトマトを駄目な芸術家に投げつけるんだ」という内容で、殺傷能力のある武器の代わりにトマトを使って芸術的な改革を促すという、なんともユニークなバンド。

その後、2007年にはベイルート・マラソンの曲を制作したり、翌2008年には、すでに暗殺されてしまったが、ジャーナリストであり、レバノン国民の自由と独立のための “杉の革命”に貢献をした政治家Gebran Tueniに関する曲を、Gebran Tueniが以前に在籍していたAn-Nahar新聞から依頼を受けて5曲制作し発表している。そして2009年には火星にとらわれてロボットのために鉱山で働かされている家族という設定のSF物語を取り入れた笑えるクリスマス・アルバム『Mni L Manjam 3al Marreekh』と、その年に行われた大掛かりなコンサートの模様を収録したライブ・アルバム『Live』を発表。こちらも発売するやいなや、2枚とも一気にチャートの上位に食い込んだ。ちなみに、このライブ・アルバムには‘Jongar‘という曲が収められているけれども、実は “アストロガンガー”という70年代の日本のロボット・アニメが80年代にレバノンでもアラビア語で放送されており、かなりの人気を博していたようで、そのオープニング曲をMEEN流に演奏しているのです。

このような経歴から彼らがレバノンにおいて結構な人気者だということがお分かり頂けたのではないかと思います。ですから、2011年に発表された新作『3arouset Bkeseen』がベストセラーというのも納得できますね。

その最新作でも、彼ら独自の社会的な事柄を扱った皮肉めいた歌詞は健在のようですが、MEENのユニークさの秘密はそれだけではありません。少し前までは、通常のアラブのロック・バンドは英語で歌うことが多かったようですが、MEENは西洋の音楽を使用しつつも歌詞は地元のレバノン的なアラビア語にこだわり、尚且つ口語体で表現しているというのです。ですから、例えば彼らが都市部からかなり離れた村で、しかも地元に根ざしたアラブ音楽以外の音楽、ましてやロックなんて知らないような人達の前で演奏をしても、見事に成功を収めたという話もあるくらいMEENの音楽は疎通力を持っているのだということでしょう。

また、そんな彼らの音楽ですが、アラビア語が生む独自のメロディが我々日本人にとってはとても新鮮に聞こえますが、ブルーズやジャズ、そしてTHE BEATLES、DREAM THEATERが好きなメンバーまでいるだけあって、ジャンルにとらわれない様々な音楽のエッセンスがごちゃまぜとなっているのですが、そのすべてをロックの精神性で包んでいます。基本的にはオールディーズというかクラシック・ロックがベースとなっているのですが、そのカラフルさと突飛さに時折目眩を覚えるほど。もちろん、叙情的で懐かしさを覚えるメロディも堪能できます。

たまには日本で紹介されることのない有名バンドでも聴いてみてください。我々が日頃聴いていているロックは世界のロックのほんの一握り。知らず知らずのうちに出来あがってしまう固定概念がボロボロと崩れて新しい何かが芽生えるかもしれません。チョコレートの食べ過ぎで歯がボロボロになるのは困りますけどね。ま、私には関係ない話です。
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