KIRMIZI “İsyan”
KIRMIZI “İsyan”
販売価格: 1,400円(税込)
商品詳細
トルコでも珍しい全員女性によって構成されているメタル・バンド、 KIRMIZI。女性だけだからってナメちゃいけない。陰りのある骨格のがっちりした気骨溢れるメタルに、オペラ畑出身のヴォーカルが放つパワフルかつトルコ語独特の憂いのあるメロディと漂わせる艶。そりゃあ、OZZY OSBOURNEやARCH ENEMYのイスタンブール公演の前座も務めますよ。
ファースト・アルバム。
2011年リリース。
収録曲
01.Çekilin Başımdan 3:46
02.Uyan 4:12
03.İsyan 3:33
04.Elveda 4:03
05.Azat Et 3:52
06.Kimsin Sen 4:22
07.Geri (kaypak) 3:18
08.Vazgeçmem Asla 3:39
以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
===========================================================================
東北区地方はすでに見頃だと思うが、全国的に紅葉が始まり、紅葉狩りにお出かけになる方もいらっしゃるだろう。しかし、赤や黄色に染まった木々、山々を見て純粋にその美しさに感嘆の声をあげつつ、少し気分も高揚するのはなぜだろう。やはり、赤という色には不思議な魅力があるのかもしれない。実は先日、そんな効果を期待して深紅のボクサーパンツを購入してしまったのはここだけの秘密である。
それはそうと、今回はREDという意味のバンド名を持つ、トルコのKIRMIZIという名前の女性ヘヴィ・メタル・バンドを紹介しよう。
2005年、Idil Çağatay(ヴォーカル/ギター)がAslı Polat(ドラム)に出会う事によってバンドはスタート。しかし、トルコで女性のみのバンドはとても数が少ない。特に、メタルという範疇になると、現在きちんと活動を続けてアルバムを発表しているのは、このKIRMIZIのみだとか。では何故、彼女達は女性のみのバンドを結成したのか。その疑問にIdil Çağatayが答えてくれた。
「国立の音楽学校に通っていた時についていたピアノ先生は女性でしたが、その楽曲を聴くだけで、男性が演奏をしているのか、女性が演奏しているのかを聞き分ける事ができる素晴らしい才能を持った方でした。ですから、女性のミュージシャンと作業をすれば、通常とは少し変わった経験や特別な音を作り出せるのではないかと考えたのです」
よって、女だてらのヘヴィ・メタルとか、話題性を狙った厭らしい動機ではなく、もっと芸術性を求めた上での選択なのである。
彼女達は結成から約5年間はひたすらライブを繰り返し(多い時は週に3回も!)、技術と経験を積み重ね、2010年に2曲入りシングル『Kırmızı(Red)』を発表。この年、OZZY OSBOURNEがイスタンブール公演を行うのだが、その前座のバンドをコンテスト形式で選ぶ事になる。そこで最終的にその座を射止めたのがKIRMIZI。それもOzzy直々の選出だったとか。ちなみに、2012年1月にはARCH ENEMYのイスタンブール公演の前座も務めているので、ここ数年の彼女達のトルコ内の知名度、注目度の高さはなんとなく察しがつくだろう。
そして2011年にデビュー・アルバム『İsyan(Riot)』を発表。楽曲の作りとしては比較的シンプルかもしれないが、骨太のリフ、ワイルドさ、しかしトルコ語のメロディが生み出す哀愁。そして何よりも非常に女性らしさ、その特性を存分に感じる事ができる希有なアルバムだ。ではここで言う女性らしさとは何なのか。実は、KIRMIZIというバンド名はこの2010年発表のシングル曲から取ったということで、その歌詞の内容を解説してもらった。
「女性の内なる声は色に例えると赤といえるのではないでしょうか。 この、Kırmızı という単語を、憎しみ、愛、パッション、血の比喩として使用しています。女性が内にこもった怒りを露にしてしまった後の躁鬱状態の悔恨です」
私はこの歌詞の説明こそが、そのままバンドKIRMIZIの音の説明にもなっていると思う。男性の表現方法とは違う方法でKIRMIZIの音は成り立っている。これは非常に感覚的な問題なので、言葉で説明しづらいが、例えば、プロモーション・ビデオが制作された「Elveda(Farewell)」は、別れの歌なので、「これはあなたのための最後の歌」「これはあなたへ送る最後の言葉」「愛、崖っぷちでふらふらと死と踊り、今日私は落ちてゆく」「愛の果てない泥沼でもがき疲れた」「愛、それは鋭い刃。切りつけられて自分の血の海で溺れる」という感じの言葉が歌詞に出てくるが、これを踏まえたうえで、この曲に触れるとより一層その女性ならではの表現、醸し出す雰囲気といったものが理解できると思う。
ただ、アルバムは今の「Elveda」のような愛する事以外にも、憎む事、権力者の圧力や間違った社会に対する反抗等、反抗心がメインとなってそれを基に制作されていると語っており、故にアルバム・タイトルも『İsyan(Riot)』となっている。ロックやメタルに重要なこの反抗心、かなり感情的に爆発させていて、強烈。Idil Çağatay(ヴォーカル/ギター)はクラシックの素養、オペラの仕事をしていた経験をもつので、艶っぽさも含む多彩な表現力を持っているが、時にグロウルをも駆使して気持ちをぶつけてくる。彼女達は決してデス・メタルではないが、ARCH ENEMYの前座としてもまったく引けを取らないワイルドさを持ち合わせている。
今月24日には、ドイツはベルリンで開催されるEUROCK MARATHONに出演する事が決まっており、今後は国境を越えた活動も期待できる。メンバーの話によると、ライブでは、ベリー・ダンサー、ファイヤー・ダンサー、フラメンコ・ダンサー、そしてオーケストラと共演するという試みを行ってきており、 今後も様々なプロジェクトを行っていくつもりがあるらしい。
最近のトルコではかなり注目に値するバンドとしてこのKIRMIZIを挙げておく。
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ファースト・アルバム。
2011年リリース。
収録曲
01.Çekilin Başımdan 3:46
02.Uyan 4:12
03.İsyan 3:33
04.Elveda 4:03
05.Azat Et 3:52
06.Kimsin Sen 4:22
07.Geri (kaypak) 3:18
08.Vazgeçmem Asla 3:39
以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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東北区地方はすでに見頃だと思うが、全国的に紅葉が始まり、紅葉狩りにお出かけになる方もいらっしゃるだろう。しかし、赤や黄色に染まった木々、山々を見て純粋にその美しさに感嘆の声をあげつつ、少し気分も高揚するのはなぜだろう。やはり、赤という色には不思議な魅力があるのかもしれない。実は先日、そんな効果を期待して深紅のボクサーパンツを購入してしまったのはここだけの秘密である。
それはそうと、今回はREDという意味のバンド名を持つ、トルコのKIRMIZIという名前の女性ヘヴィ・メタル・バンドを紹介しよう。
2005年、Idil Çağatay(ヴォーカル/ギター)がAslı Polat(ドラム)に出会う事によってバンドはスタート。しかし、トルコで女性のみのバンドはとても数が少ない。特に、メタルという範疇になると、現在きちんと活動を続けてアルバムを発表しているのは、このKIRMIZIのみだとか。では何故、彼女達は女性のみのバンドを結成したのか。その疑問にIdil Çağatayが答えてくれた。
「国立の音楽学校に通っていた時についていたピアノ先生は女性でしたが、その楽曲を聴くだけで、男性が演奏をしているのか、女性が演奏しているのかを聞き分ける事ができる素晴らしい才能を持った方でした。ですから、女性のミュージシャンと作業をすれば、通常とは少し変わった経験や特別な音を作り出せるのではないかと考えたのです」
よって、女だてらのヘヴィ・メタルとか、話題性を狙った厭らしい動機ではなく、もっと芸術性を求めた上での選択なのである。
彼女達は結成から約5年間はひたすらライブを繰り返し(多い時は週に3回も!)、技術と経験を積み重ね、2010年に2曲入りシングル『Kırmızı(Red)』を発表。この年、OZZY OSBOURNEがイスタンブール公演を行うのだが、その前座のバンドをコンテスト形式で選ぶ事になる。そこで最終的にその座を射止めたのがKIRMIZI。それもOzzy直々の選出だったとか。ちなみに、2012年1月にはARCH ENEMYのイスタンブール公演の前座も務めているので、ここ数年の彼女達のトルコ内の知名度、注目度の高さはなんとなく察しがつくだろう。
そして2011年にデビュー・アルバム『İsyan(Riot)』を発表。楽曲の作りとしては比較的シンプルかもしれないが、骨太のリフ、ワイルドさ、しかしトルコ語のメロディが生み出す哀愁。そして何よりも非常に女性らしさ、その特性を存分に感じる事ができる希有なアルバムだ。ではここで言う女性らしさとは何なのか。実は、KIRMIZIというバンド名はこの2010年発表のシングル曲から取ったということで、その歌詞の内容を解説してもらった。
「女性の内なる声は色に例えると赤といえるのではないでしょうか。 この、Kırmızı という単語を、憎しみ、愛、パッション、血の比喩として使用しています。女性が内にこもった怒りを露にしてしまった後の躁鬱状態の悔恨です」
私はこの歌詞の説明こそが、そのままバンドKIRMIZIの音の説明にもなっていると思う。男性の表現方法とは違う方法でKIRMIZIの音は成り立っている。これは非常に感覚的な問題なので、言葉で説明しづらいが、例えば、プロモーション・ビデオが制作された「Elveda(Farewell)」は、別れの歌なので、「これはあなたのための最後の歌」「これはあなたへ送る最後の言葉」「愛、崖っぷちでふらふらと死と踊り、今日私は落ちてゆく」「愛の果てない泥沼でもがき疲れた」「愛、それは鋭い刃。切りつけられて自分の血の海で溺れる」という感じの言葉が歌詞に出てくるが、これを踏まえたうえで、この曲に触れるとより一層その女性ならではの表現、醸し出す雰囲気といったものが理解できると思う。
ただ、アルバムは今の「Elveda」のような愛する事以外にも、憎む事、権力者の圧力や間違った社会に対する反抗等、反抗心がメインとなってそれを基に制作されていると語っており、故にアルバム・タイトルも『İsyan(Riot)』となっている。ロックやメタルに重要なこの反抗心、かなり感情的に爆発させていて、強烈。Idil Çağatay(ヴォーカル/ギター)はクラシックの素養、オペラの仕事をしていた経験をもつので、艶っぽさも含む多彩な表現力を持っているが、時にグロウルをも駆使して気持ちをぶつけてくる。彼女達は決してデス・メタルではないが、ARCH ENEMYの前座としてもまったく引けを取らないワイルドさを持ち合わせている。
今月24日には、ドイツはベルリンで開催されるEUROCK MARATHONに出演する事が決まっており、今後は国境を越えた活動も期待できる。メンバーの話によると、ライブでは、ベリー・ダンサー、ファイヤー・ダンサー、フラメンコ・ダンサー、そしてオーケストラと共演するという試みを行ってきており、 今後も様々なプロジェクトを行っていくつもりがあるらしい。
最近のトルコではかなり注目に値するバンドとしてこのKIRMIZIを挙げておく。
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